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2010.01.12(Tue)


文学の旅。


今度刊行する小説の注釈を、せっせと作っています。

その短編は、ソ連時代のめぐまれない作家が、旅行に来ていた

見知らぬアメリカ人に、出版の融通をしてくれ、と頼む話です。

追いかけていっては、何度も、何度も、頼みます。

火中の栗は拾いたくない、というアメリカ人と、

自分のことしか考えていない、切羽詰まった、才能豊かなロシア人。

おもしろいし、哀しいです。


ロシア人は、会話の中で、ロシアのたくさんの作家の名前を、

滔々と、を引用します。

ドストエフスキー、チェーホフ、ソルジェニーツィン。

ここまでは、わかります。

イサーク・バーベリ、マリーナ・ツヴェターエワ、オシップ・マンデリシュターム。

? ? ?

聞いたことがあるような、ないような、という名前です。

しかし、彼らの名を、図書館の文学辞典で調べると、俄然、読みたくなります。

たとえば、イサーク・バーベリは、要約すると、下記のようになります。


「一八九四 ~ 一九四一。ロシアのユダヤ系作家。
短編の名手であり、多彩な文体で『オデッサ物語』『騎兵隊』などを残した。
スターリンの粛清によって銃殺される」


そして、『騎兵隊』はネット古書店でそんなに高くない値段で、

『オデッサ物語』は新刊(群像社)で、今でも読むことができるのです。

読者というものは、このようにして続いていくのだ、と思います。

その導き人となるのは、必ずしも、現実世界の人間ではないのです。




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